近年、社会問題化している引きこもり。2010年に実施した内閣府の調査によると、推計69万人もの人が引きこもりという結果が出ています。

引きこもりは決して他人事ではありません。引きこもりを解決する方法だけでなく、大切な家族や自分が引きこもりにならないように気を付けておく必要があります。

今回は、アドラー心理学で考える引きこもりの予防と5つの解決法を紹介します。

なぜ引きこもりに?主な4つの原因

一般的に考えられる引きこもりの主な原因は、以下の通りです。

    <引きこもりの主な4つの原因>

  • 職場になじめない
  • 病気
  • 就職活動がうまくいかなかった
  • 人間関係(不登校、いじめ)

新しい環境にうまく適応できないことをきっかけに、心理的なプレッシャーを強く感じることが引きこもりにつながっています。

インターネットやSNSが普及した現代では、直接顔を合わせなくてもコミュニケーションが取れます。検索するだけで情報を得ることもできます。とても便利な世の中ですが、便利なゆえにコミュニケーション能力が育まれにくい環境と言えるかもしれません。

ただでさえなじめない状況に加え、仕事や勉強で結果を出すことが求められると、より大きなプレッシャーを感じます。そして、その負荷に耐え切れなくなり、引きこもりになってしまうのです。

また、全てではありませんが、病気もストレスなどの心理的要因が原因である可能性もあります。引きこもりは、人間関係やコミュニケーション能力に大きな原因があると考えることができるでしょう。

引きこもりの目とは?アドラー心理学で考える

次に、アドラー心理学で引きこもりを考えてみます。

アドラー心理学には「目的論」という考え方があり、人間の行動には目的があると考えます。この考え方に当てはめると、引きこもりにも目的があることになります。誰も望んで引きこもりになるとは思えませんが、引きこもりの目的とは、いったい何なのでしょうか。

引きこもっている限り、対人関係や仕事で失敗することはありません。本来は立ち向かわなくてはいけない課題から逃げることができます。また、家族や周囲の人は腫れ物に触るように扱い、自分に注目してくれるようになるでしょう。つまり、引きこもりによって特別な存在になれるのです。

もちろん、本人にそこまでの自覚はないことがほとんどです。引きこもりのきっかけは、職場になじめなかったなどの一般的な原因にあるでしょう。それでも、引きこもりの状態から脱出できないのは、目的が達成できているから。たとえ不本意であっても、目的が達成できている状態を変える理由はありません。

予防できる?引きこもりにならないためにできる3つのこと

一度引きこもりになってしまうと、その状態から抜け出すのは大変です。ここでは、引きこもりにならないためにできる3つのことを紹介します。

自分を勇気づける言葉をかける

新しい環境になじめなかったり、人間関係がうまくいかないときは、自分を責めてしまうことがあります。「自分はダメ」と自分を責めていることに気づいたら、自分を勇気づける言葉をかけましょう。

自分を勇気づける言葉とは、「大丈夫!」「よくやってるよ。」などのプラスの言葉です。意識して使うことで、気持ちが軽くなってきます。

完璧主義をやめる

職場や学校ですべての要求に応えようとしたり、仕事や勉強をすべて完璧にこなすのは難しいです。完璧主義な人は目標が高いので、自分で自分を追い詰めがちです。

自分で自覚のある人は、少し目標を下げてみましょう。8割できればOKと考えると気持ちが楽になります。

失敗の捉え方を変える

失敗しても、過度に落ち込む必要はありません。私たちは失敗を経験することで成長していきます。また、失敗は挑戦した証でもあります。

失敗を前向きに捉えられるようになると、落ち込むことが少なくなります。日頃から意識しておくといいでしょう。

引きこもりになったらどうする?アドラー心理学で考える5つの解決法

では、アドラー心理学で考える引きこもりの解決法を5つ紹介します。

過度に注目しない

心配して特別扱いしたり、なんでもやってあげるのは逆効果です。また、「外に出なきゃダメ!」と強制するのもやめたほうがいいでしょう。心と閉ざし、余計にひどくなってしまいます。

引きこもりの目的の一つは、特別な存在になれることです。過剰な心配や叱咤激励は、その目的が達成できている状態です。引きこもりをやめる理由がなくなってしまいます。家族が引きこもりになってしまっても、家庭の中では極力普通に接するようにしましょう。

いつでも助ける用意があると伝える

注目しないのと放っておくのは違います。引きこもっている本人は勇気がくじかれた状態です。周囲の人たちの勇気づけは欠かせません。

大切なのは、いつでも助ける用意があると伝えること。そして、信頼して待つことです。外に出るかどうかは本人の課題。周囲は信じて見守るしかありません。

役割を与える

引きこもりになり、周囲が何でもやってくれるのは、本人にとって居心地のよい環境です。これでは、外に出る理由はなくなります。

家族で生活しているならば、家庭の中で役割を与えましょう。食事は自分で用意する、掃除や後片付けなど、できることはやってもらいましょう。しかし、「やりなさい」と頭ごなしに命令はしないこと。話し合いをしたうえでやってもらうことが大切です。

一緒に落ち込まない

家族が引きこもりになると、周りも一緒に落ち込みがちです。気持ちは理解できます。しかし、一緒に落ち込むのは、本人にとっては注目を得ていることになり、特別な存在になるという目的を果たしていることになります。

一緒に落ち込むのではなく、放っておいて自分たちだけで楽しく遊んでいるぐらいのほうがいい。それを見て、引きこもっているのがバカらしくなってきます。家族が引きこもっていても、自分まで落ち込む必要はありません。

専門家に相談する

家族とも全く話さない、部屋から一歩も出ないような重度の引きこもりになると、対応するのは難しくなります。その時には専門家に相談しましょう。

周囲の人だけでできることとできないことがあります。難しいと感じたら、自治体の相談窓口や引きこもり専門のカウンセラーなど、外部の方に相談するのがおすすめです。

課題の分離とは?あなたはあなたの人生を生きよう!

アドラー心理学には「課題の分離」という考え方があります。目の前に問題があったとき、その問題は誰のものかは、最終的に誰が責任を負うのかで判断します。

大切な家族が引きこもりになるのはつらいことです。しかし、それは本人の課題であって、あなたの課題ではありません。あなたにはあなたの人生があります。一緒になって落ち込み、自分を責める必要はありません。

自分が大きなストレスから体を壊さないためにも、しっかり線を引いておくことが大切です。協力はしながらも、自分の人生を生きましょう!

まとめ

アドラー心理学の考えから、引きこもりの予防と5つの解決法を紹介しました。

引きこもりの原因はいくらでも考えられます。しかし、いくら原因を追求しても、解決にはつながりません。人間の行動には目的があり、引きこもりにも目的があります。そこに注目することが、解決への第一歩になります。

そして、引きこもりを予防することも大切です。勇気づけや完璧主義をやめるなど、日頃の習慣や考え方を見直してみてください。